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この夏、2000年もの長い時間海底で眠り続けていたという古代エジプト王朝の至宝が日本に初上陸します!
6月27日?9月23日まで横浜開港150周年記念事業の一環として開かれる「海のエジプト展~海底からよみがえる、古代都市アレクサンドリアの至宝~」は、地中海に沈むアレクサンドリア、カノープス、ヘラクレイオンの3つの古代都市から引き揚げた遺物約490点を日本初公開。その開催に先立ち、3月10日に東京都内で記者発表が行われました。
ここでは記者発表の様子を交えながら、同展の見どころや古代エジプト文明についてご紹介します。
「海のエジプト展~海底からよみがえる、古代都市アレクサンドリアの至宝~」記者発表の会場
■日本初上陸!引き揚げられた2000年前の遺物
その美しさを「地中海の真珠」と讃えられるエジプト第2の都市アレクサンドリア。アレクサンドリアは紀元前331年、マケドニア王国のアレクサンダー大王により建設された後、古代エジプト・プトレマイオス朝の首都として約3世紀にわたり栄華を誇った都市です。
プトレマイオス朝滅亡後も、古代ギリシャ・ローマ文明の学術や商業の中心都市として長らく繁栄しました。また、プトレマイオス朝最後の女王クレオパトラ7世が愛した街としても知られています。
プトレマイオス朝時代、首都が面するアレクサンドリア湾やその東岸のアブキール湾沿岸には、カノープスやヘラクレイオンなどの港湾都市が存在していました。それぞれの都市には、王朝の権勢を誇るさまざまな建築物が建てられていましたが、地震などの天変地異により都市の殆どが海中へと沈み、古代エジプト王朝文化の実態は長らく謎のままとされてきました。
1992年、その謎を解明しようとフランス人海洋考古学者のフランク・ゴディオ氏が、エジプト考古最高評議会と共同で大規模な海底探査プロジェクトを開始。海中の視界が非常に悪く、1年を通して限られた季節にしか調査が行えないといった困難な状況の下、ついに、アレクサンドリア湾沖に沈むプトレマイオス朝の古代都市の海底遺跡と大量の遺物を発見したのです!
2,000年もの永き眠りにあった古代エジプト王朝の遺跡との邂逅。
この歴史的大発見のニュースは、世界に大きな驚きと興奮をもたらしました。その後、プロジェクトは5メートルのファラオ像やステラ(石碑)など貴重な遺物を引き揚げることに成功し、2006年からは長年の発掘の過程と成果を披露する国際巡回展を実施。
ヨーロッパ各地での開催を経て、2009年6月、いよいよ日本で「海のエジプト展」が開かれることになりました。
フランスの海洋考古学者フランク・ゴディオ氏
海中のハピ神像(プトレマイオス朝、前4世紀)
(C)Franck Goddio/Hilti Foundation-Photo:Christoph Gerigk
引き揚げられるハピ神像
(C)Franck Goddio/Hilti Foundation-Photo:Christoph Gerigk
■ハイテクを駆使して解明した古代エジプト文化
探査プロジェクトの責任者であるゴディオ氏によれば、「このプロジェクトは、物理探査ならびに地質学的な技術や装備などのさまざまなハイテクを駆使して行ってきました。さらに、この種の海洋考古学専門として特別開発された磁気探知機などの機器も使っています」とのこと。また、科学者をはじめ、ダイバー、エンジニア、古代エジプト学専門家など幅広い分野のエキスパートによりチームが編成され、多くの人々の協力によって実現したプロジェクトであるそうです。
探査プロジェクトの対象地域はアレクサンドリア湾とアブキール湾の2箇所。アレクサンドリア湾での探査について「古代アレクサンドリアの港は600ヘクタールに及ぶ規模でした。この港は歴史上初めて近代的な設備を備えた港だったと考えられます。規模の点から見ても、それ以前に存在していた港とは比べ物にならない大規模なものだからです」とゴディオ氏は説明。「このプロジェクトによって、アレクサンドリアの広大な港の中でも、北部を中心とする地域において古代エジプト文化がどのような様子であったか、かなり解明されてきました」と話しています。
調査によって判明した古代アレクサンドリアの姿
■最大の見どころはヘラクレイオンの巨像3体
今回の展示会では、「アレクサンドリア」「カノープス」「ヘラクレイオン」の3つの古代都市ごとに発見された遺物を展示します。
アレクサンドリアエリアの見どころの一つは「カエサリオン像の頭部」。カエサリオンは、クレオパトラと初代ローマ皇帝ユリウス・カエサルの息子といわれる人物で、見つかったものは頭部だけでも約80センチ、全長は約5メートルにも及ぶ巨大な像です。 「このプロジェクトによって、アレクサンドリアの広大な港の中でも、北部を中心とする地域において古代エジプト文化がどのような様子であったか、かなり解明されてきました」とゴディオ氏は話しています。
一方、カノープスエリアの見どころは、なんといっても「アルシノエ2世王妃の像」でしょう。ゴディオ氏も「王妃像はギリシャ神話に登場する愛の女神アフロディテが水から上がる姿を元にした彫像で、傑作のひとつです」とその美しさを賞賛しています。 このほか、セラピス神の頭部やオシリス神の姿を模ったカノポス壺(臓器収蔵器)、福音書の言葉 「平和、我のもの、汝に与える。アーメン」 が刻まれた金のウェディングリングなど、多彩な遺物を見ることができます。
もう一つの古代都市、ヘラクレイオンの探査で発見されたのは、今回の展示品最大の目玉であるハピ神や王、王妃の巨像です。これら3体の像は全長がなんと約5メートル。重さは小さいもので約4トン、大きいものでは6トン以上もあるという巨大な彫像です。その荘厳な佇まいは圧倒的な存在感を持ち、畏怖さえ感じるほど。古代エジプトの人々も同じような思いを抱いていたのではないでしょうか。
このほか、探査プロジェクトはステラと呼ばれる文字が刻まれた大きな石碑を発見。ゴディオ氏は「ステラに刻まれた文字を解読することで、古代ヘラクレイオンがどの場所に在り、どんな名前であったかが解明されました。古代エジプトにおいてヘラクレイオンは"トニス"と呼ばれていたのです」と探査の成果を語っています。
ヘラクレイオンで発見された3体の巨像
古代エジプトの神「セラピス神像の頭部」(左)、愛の女神アフロディテが水から上がる姿を元にした「王妃の像」(中)、古代エジプトの神「オシリス・カノポス壺」(右)
福音書の言葉「平和、我のもの、汝に与える。アーメン」が刻まれている金のウェディングリング
■子供から大人まで楽しめるさまざまな企画
日本独自企画として、展示会会場では最新VR(バーチャルリアリティ)技術を使用した「VRシアター」を体験することができます!
海底遺跡や古代都市をコンピューターがリアルタイムに作りだす超高精細映像で再現。
作品の案内役のナビゲーターがコントローラを操作して自由に仮想空間内を移動することで、実際に古代都市や海中を探査しているような感覚を楽しむことができます。
また、クレオパトラに関する展示コーナーでは、カネボウの協力により特別に調香した「クレオパトラの香り」を散布。
体験コーナーではクレオパトラが愛した香りを再現した「キフィ」をはじめ、古代エジプトにちなんだ「スミレ」や「サフラン」などの香りを展示します。
会場を訪れた人は、世界3大美女の1人・クレオパトラの"美の世界"に触れることができることでしょう。
さらにフィギュア好きの方なら見逃せない企画も登場!
あの海洋堂が展示作品をミニチュアにした約10種類のオリジナルフィギュアを作成。
これらを「ガチャガチャ(カプセルベンダー)」に入れ、期間中の会場で公式フィギュアとして発売するとのこと。
これなら小さな子供も一緒に楽しめそうです。
「海のエジプト展」はカノープス、ヘラクレイオン、アレクサンドリアを分けて展示する構成
センターサークルはVRシアターや古代エジプトの香りを再現するコーナーなど体験型展示となっている
海洋堂制作による「海のエジプト展」公式フィギュア。すべてガチャガチャに入っている
安西水丸氏によるスノードームの完成イメージイラスト。遺物が海底に眠っていた様子を再現する。
■日比野克彦が語る「海のエジプト展」の魅力
当日記者発表の会場には、「開国博Y150」アートプロデューサーを務めるアーティストの日比野克彦氏も駆けつけました。
昨年11月にエジプトを訪ね、ゴディオ氏と一緒にアレクサンドリア湾に潜ったという日比野氏は「人がなかなか行くことができない海域で探査を行っているのかと思っていたが、港からすぐ近くの場所で行われていてびっくりした」と話しました。
現地で日比野氏は、プラスティック製の画板と水に溶けない紙を用意して海中に潜り、遺物をスケッチしたそうです。
砂漠の砂がナイル川から流れ込んでいるために視野がとても悪かったと話し、「近くに寄るとスフィンクスの足や手などディテールが見えるが、全体像が見たいと思って遠ざかると何も見えなくなる(笑)」と語りました。そんな悪戦苦闘をそばで見ていたゴディオ氏は「あんな濁った海の中に飛び込んで絵を描くなんてとても驚きました」と述べ、日比野氏のチャレンジ精神にすっかり脱帽したようでした。
港から船で10分程行った海域の水深5~6メートルの場所に、何千年前の遺物があるのが不思議だったと話す日比野氏は「海の中に昔の遺跡が時間が止まったまま、ずっとそこにあるというのはロマン」とコメント。続けて「視覚的動物の人間は見えるものに対してはどんどん研究を進めるが、足元のわずか水深5メートルのところに"見えないから"置き去りになっているというのは、現代人として考えるべきものがあるのではないか。海の中に何かがあることを、海に囲まれた島国である日本人がもっと知ると面白い」と、今回の展示会の魅力を語りました。
"見えないから"、2000年もの長い間、海底に置き去りにされていた古代エジプトの遺跡。この夏、眠りから覚めた遺物たちは、現代の私たちにどんな言葉を語りかけてくるのでしょうか。
いまから非常に楽しみです。
「潜ってみると、ナイル川からの砂が舞って視界は非常に悪く、そのために何百年も都市がみつからなかったのがわかる」と語る日比野克彦氏
以前沖縄でも水中で絵を描いたことがあり、プラスチック製の画板と、溶けない石油系のものでできている紙、クレヨンを持って潜ったという。
「海底に古代文明のひとつが眠っていたということが、自然を大切にするという注意を喚起することになる」と語るゴディオ氏。
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