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服部善郎 服部名人+領子の”釣りにいこうよ!!”釣りと魚のエトセトラ
服部善郎 服部名人 服部善郎 (はっとりよしろう)1928年神奈川県・横浜生まれ。
早稲田大学卒業後、読売ニュースのディレクター、釣り番組「日本の釣り」演出・出演などを経て、深夜番組「11PM」の釣りコーナーを23年間にわたり担当。
日本および世界各地の釣りを紹介し、「服部名人」の愛称で広く親しまれる。NHK趣味悠々講師、海上保安庁友の会理事、JGFA(ジャパン・ゲーム・フィッシュ協会)名誉会員。
小久保領子 (こくぼ りょうこ)ボアエージェンシー所属
趣味である釣りを生かし、テレビ、雑誌、ラジオ出演、コラム執筆など、各メディアで活躍中。
釣りは何でも大好き。管理釣り場や渓流のトラウト、湖沼のライギョから、海の大物釣りまでと、あらゆる釣りに挑戦している。現在、『AnglingFan』、『Fishing Area News』、『食漫』、WEBサイト等で連載を持つ他、CS釣りビジョン『五畳半の狼』にレギュラー出演。
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小久保領子
服部善郎 小久保領子 釣りに行こうよ
◎第十一回 “海の王様”マダイ
『沖釣りもIGFAルールで』というJGFA名誉会員である服部名人の発案で始まった『服部名人杯 JGFA沖釣りサーキット』。去る2月21日。和気あいあいとした和やかムードで、大盛況のうちに幕を閉じた、第1戦『アマダイ大会』
この大会の模様は以前にもこちらのコーナーで詳しくお伝えしたが、アマダイ釣り初心者である私が、奇跡の4位入賞。
まさか、釣り大会で入賞できるなんて…。夢にも思っていなかっただけに、それはそれは嬉しかった。
“釣りには、何が起こるか分からないロマンがある”
“百戦錬磨のベテランでなくとも、大物が掛かるチャンスは誰にでも平等に巡ってくる”
ということを再確認したのだった。と同時に、『同じ趣味を持つ多くの太公望たちと腕を競い合う』そんな、新たな釣りの楽しみを知り、釣りという世界観を広げてくれた大会でもあった。
様々な感動や愉悦をプレゼントしてくれた『アマダイ大会』。次の大会も、絶対に出場しよう。そう心に決め、首を長くして待っていた第2戦『マダイひとつテンヤ大会』が、去る5月30日、千葉県は外房・大原で開催された。今回は、その模様をたっぷりとお届けするとしよう。海の王様 マダイ マダイひとつテンヤ大会
 『ひとつテンヤ』といえば、“海の王様”マダイが、爆発的に釣れるとして一大センセーションを巻き起こしている新釣法だ。
実際、私も、これまでに3度ほど『ひとつテンヤ』釣法でのマダイ釣りにチャレンジしてみたのだが、こいつがスゴイ
噂にたがわぬ釣れっぷりで、夢のような釣果に恵まれたのである。
過去、数回にわたり挑んだマダイ釣り。
けれど、一度たりともマダイの顔を拝むことができなかった。
最もポピュラーといわれているコマセ釣りでも、数年前にブームを呼んだ鯛ラバを使った釣りでも、からっきしダメ。かすりもしなかった私。
だのに、『ひとつテンヤ』釣法では、ビックリ仰天の釣果を出すことができてしまったのだ。

というのも、実釣開始からわずか1時間足らずで、念願のマダイを手中に収めることができてしまったのだから。
以後、アタリは何度となく訪れ、計7枚のマダイをキャッチすることに成功。これまで、3度も4度もマダイに振られ続けていたというのに…。
信じられない好釣果に、まるで甘美な夢を見ているようだった。

が、驚きの出来事はこれだけじゃぁない。それからわずか1週間後のこと。
『ひとつテンヤ』釣法に魅了された私は、再びフィールドへと足を運んだ。すると、またしても夢想だにしない出来事が待っていたのである。それは、ポイントに到着して、ひと流し目のことだった。
これまで味わったマダイのアタリとはまるで違う、根が掛かりをしてしまったかのような感覚さえ覚えるほどの重量感のあるそれに、焦り、驚き、鳥肌が立った。
厳しいやりとりの末、海面に浮かんできた魚影。その大きさに、私は息を呑んだ。キャッチすることができたのは、まさかまさかの4,6キロ。実釣をスタートさせてからほんの数十分で、夢の大鯛をキャッチしてしまったのである。
真鯛 ひとつテンヤ

今大会は、そんな、魂が震えるようなめくるめく体験をさせてくれた『ひとつテンヤ』。どんな初心者でも、誰もが憧れる夢の大鯛を釣ることができるということを、私は実際に、この目で確認し、この体でリアルに体感している。優勝だって、十分に狙えるはず。チャンスは大いにあるはず。だったら、私は、ホンキで優勝を狙う。そう、意気盛んに大会場所である大原へと向かったのだった。
ゴウゴウと唸り声を上げながら吹き荒れる風。ザブザブと押し寄せる豪快な波。
出船できるのかどうか、心配になってしまうほどの荒天に見舞われてしまったのだった。えらく厳しいコンディションではあったものの、海のプロである船長の判断で出船。ホッと安堵の胸を撫で下ろしたと同時に、「ツライ釣りになるかもしれない」と、ほぞを固めたのだった。当日の参加者は31名。
『松鶴丸』さんから、2隻(第一松鶴丸15名・第二松鶴丸16名)に分かれて4時半に出船し、沖上がりは11時。
ルールはIGFAルールに準じ、マダイ(40センチ以上)2尾の総重量で競われる。
私は、服部名人と共に第二松鶴丸に乗船した。
松鶴丸皆さん、手馴れた様子でタックルの準備に勤しんだり、テンヤを吟味したりと、船上は早くも熱気に包まれている。
ポイントに到着したら、すぐに釣りが開始できるよう、私も服部名人のご指導のもと、タックルの準備に取り掛かった。
「この釣りはね、底ダチが取れないとお話にならない釣りなんだ。まずは、底ダチをしっかり取ること。これが一番大切。もし、底ダチが取れているのか分からないようだったら、テンヤを大きくして、テンヤが着底した感触をしっかりとキャッチするようにね。 釣り方は、テンヤを着底させたら、糸フケと取って少し待つ。そしたら、竿をスゥーっとあおり、糸に一定のたるみを付けながら再びテンヤを落としてゆくんだ。この繰り返し。アタリは、テンヤが落下してゆくときに出る場合が多いから、落としこんでいるときには集中して、繊細なアタリを見逃さないようにね。糸や竿先に何らかの変化を感じたら、即アワセを入れること」。 服部名人からの貴重なアドバイスを頂戴しながら、タックルの準備を進めていると、いよいよ出船の合図。
決戦の幕が切って落とされた。

【松鶴丸】 〒298-0004 千葉県いすみ市大原758  Tel:0470-62-1569 携帯:090-8015-2540
http://www.offshore.jp/shokaku3/
釣れない・・・生まれたてのピュアな朝日を眺めながら、どんぶらこどんぶらこと船に揺られること約30分。ポイントに到着。
第二松鶴丸に乗る16名の選手が、一気に仕掛けを降ろした。
水深が30~50メートル。この水深に妥当だと思われる、8号のテンヤからスタートした私。が、吹き荒れる北東強風に加え、潮の流れが早く、底ダチを取ることができない。「底が取れなかったら、テンヤを大きくして底ダチをしっかり取ること」という服部名人の言葉通り、私はすぐにテンヤをチェンジ。
一回り大きな10号のテンヤに変えた。しかし、それでも底が分からない。小さいテンヤの方が、魚の喰いが良いのは確か。けれど、その前に底ダチが取れないようでは、釣りにならない。
そう、魚と巡り合えるチャンスはゼロ、といっても過言ではないのだ。
喰いが悪くなるという多少のリスクを背負っても、魚の巡り会えるチャンスが少しでも広がるのであれば、大きなテンヤを使用する方が良いにきまっている。

そこで私は、更に大きな12号にテンヤに変えたのだった。
すると、何とかテンヤが着底した感触を掴むことができ、「これでやっと釣りになる」と、ホッとしたのも束の間、にわかに船上がざわめき出した。船中一枚目のマダイが上がったのである。
スタートフィッシングから、30分後のことだった。早々に顔を見せてくれた本命に、むくむくと膨れ上がる期待感。
しかしだ。この後、それはまんまと裏切られることとなる。
一体、どれほどの時が流れたのだろう。マダイは愚か、外道のアタリすら皆無。
そんな辛い釣りが、5時間以上も続いていた。やっとアタリがあったかと思えば、定番外道のウマズラハギ。

「今日は、もうダメかもしれない…」 と、弱気の虫が騒ぎ始める。しかし、そんな厳しい状況ながらも、選手の皆さんは誰一人として手を止めようとしない。
丁寧に、そして、熱心に誘いをかけ続けている。そんな皆さんの、真っ直ぐで熱い姿勢が、私の中で増殖しはじめていた弱気の虫を追い払ってくれた。“ネバーギブアップ精神”を呼び覚ましてくれたのである。すると、天使は私に優しく微笑んでくれた。
突如として訪れた痛烈なアタリ。
竿先が海中に突き刺さるかの如く、これでもかとばかりに大きく弧を描いた。激しいメカニカルな引きが、私を襲う。マダイだ!
そう確信すると、胸の鼓動が一気にボルテージを上げた。
リールが唸り、フルスピードで噴出すライン。
絞りこまれる竿を脇でしっかりと固定し、耐えた。
荒波が叩きつけ、激しく揺れる甲板に必死で足をふんばりながら、ひたすら耐えた。「絶対に獲りたい」ただただその一心で。
海中に突っ込まれ、せっかく浮いてきたと思ったらまた走られラインが噴出す。早く魚の顔が見たい。一刻も早く釣り上げたい。
そう思うと同時に、この手ごたえを常しえに楽しんでいたい、という釣り人ならではのワガママをめいっぱい堪能できるゼイタクなひと時をかみ締めながらのやりとりは、何とも刺激的だった。
全身が震えるほど興奮した。言葉にならないほど壮快だった。

キャッチすることができたのは、1.5キロ本命マダイ
辛い釣りが続いていただけに、この一枚を手にしたときには、まるでロマンチックな夢を見ているような、宙に浮いてしまったような、不思議な気分になった。天にも昇る心地とは、きっとこういうことをいうのだろうな。ふとそんなことを思ったのだった。
結果。2隻の船で上がったマダイは、計8枚。
うち、惜しくも検量外(40センチ以下)となってしまったものが5枚。
結局、40センチオーバーのマダイは、第一松鶴丸に乗船の岡田順三会長と、伊達武さん、そして、第二松鶴丸では私が釣ったマダイの計3枚だけ。そう、この時点で、何と、私の3位入賞が確定!
いよいよ、緊張の検量だ。
結果やいかに…。
本命のマダイ 真鯛1.5キロ 42センチ
伊達武さんがキャッチしたマダイは、43センチ/1.55キロ
岡田順三会長は、40.5センチ/0.95キロ
そしては、42センチ/1.50キロ
ということで、優勝の栄冠を手にしたのは、伊達武さん。2位は、私。3位は岡田順三会長となった。
いやはや、まさか2位になってしまうとは。夢にも思っていなかったよ。
これも、選手皆さんのお陰と、心から感謝している。あまりにも厳しい状況での釣りとなってしまい、途中、諦めにも似た萎れた気持ちに襲われたけれど、選手皆さんの釣りや大会に対するどこまでも強く、真っ直ぐで純粋な心と姿勢に、パワーをいただけることができたから。
正直、相当なタフコンデションとなってしまい、満足のゆく釣果を得ることができなかった大会となってしまったけれど、こういった状況だったからこそ、学び、気付き、考えさせられたこと、また、海から、そして、選手皆さんから教えられることが多々あった一日。
今後の釣りへと繋がる、貴重な体験をさせていただくことができ、何だか最高の宝物を手に入れたような気分になったのだった。

ネバーギブアック精神で第3位獲得

今大会で、釣りというものには底知れぬロマンと、デッカイ夢がある素晴らしい遊びだということ、『ひとつテンヤ』釣法の持つ懐の大きさを再確認した私。
そうそう、“ネバーギブアップ精神” も。諦めなければ、きっと天使は微笑んでくれるんだ、ってね。  
お世話になった皆様方、本当にどうもありがとうございました。
また、皆様方とご一緒させていただける時を、楽しみにしております。
稚魚放流寄付金

次回の 『服部名人杯 沖釣りサーキット第3戦』 は、10月17日。 ターゲットはワラサだ。
JGFA会員でなくても参加できるので、是非ともご参加いただきたい。服部名人と釣りができる、貴重なチャンスだ。  
※大会の参加費の一部は、稚魚放流金として寄付されている。今回も、服部名人から『松鶴丸』の中村松洋船長に、稚魚放流寄付金が贈られた。


【文:小久保 領子】

◆◇◆次回を乞うご期待!◆◇◆