深呼吸倶楽部 しんこきゅうくらぶ 藤田智 藤田智先生 藤田先生 ベランダ農業 ベランダ農園 ガーデニング 庭いじり 栽培 家庭菜園 収穫 プチ農業 園芸 ミニダイコン イチゴ エンドウ ソラマメ 春の七草 ジャガイモ

ベランダ農業のススメ
ジャガイモ ベランダ農業 藤田 智
ジャガイモ 悪者からヒーローへ変身
「16世紀、インカ帝国を征服したスペイン人によってジャガイモは、南米からヨーロッパへともたらされた。しかし、当時は食用として普及しなかったんだ」
「なぜですか?」
「ゴツゴツした形が不気味だとか、イギリスのエリザベス1世がソラニン中毒になったことから、食べると病気になるなどと敬遠されていたんだ。しかし、ドイツのフリードリッヒ大王は、冷涼な気候や痩せた土地でも育つ特性からジャガイモの栽培を奨励した。当時は戦争による土地の荒廃や冷害で食糧飢饉が毎年のように起こっていて、これを解決することが最大の政治課題でもあったんだ」
「悪者のレッテルを貼られていたジャガイモが、飢饉から人々を救って、一躍ヒーローになったんですね」
「その通り。飢饉に襲われていたのはフランスも同じ。ドイツで捕虜となったときにジャガイモ料理を知ったフランス人薬剤師・パルマンティエが、飢饉から救う作物としてジャガイモの栽培を進言。不気味なイメージのゴツゴツした芋の部分ではなく、美しい花をマリー・アントワネットへ贈ったんだ。マリー・アントワネットがこの花を気に入り髪に飾ると、貴族女性のあいだでジャガイモの花を髪飾りにするのが流行したそうだよ」
ジャガイモ
男爵芋の男爵って一体誰? ベランダ農業
「次第に全世界に広まって、今や世界四大作物(小麦・米・トウモロコシ・ジャガイモ)に数えられるまでになった。日本には、1600年ごろにジャカルタ経由で伝わったんだ。日本でも度々飢饉から人々を救ってきたんだよ。こういう作物を救荒作物というんだ。疲れたから今日の講義はお休み!! なんてね」
「それは休講!! ってゆーか、勝手に休まないでください」
「はいはい。救荒作物とは、主食となる作物が凶作のときにも生育し収穫でき、主食の代用となる作物だよ。というわけで、痩せた土地でも栽培できるスグレモノなんだけど、連作障害(※)を避けるためには、2~3年ナス科の植物を植えていない土地で育てることが望ましいね」
※連作障害…連作(同じ作物を同じ土地で繰り返し栽培すること)によって生じる土壌病や栄養障害・虫害で、次第に発育不良となっていく現象。
「ジャガイモ以外のおもなナス科の野菜は、ナス・トマト・ピーマン・トウガラシですね」
「その通り。やるねぇ~、ナシエちゃん。さて、ジャガイモが日本で本格的に栽培されるようになったのは明治時代。代表的な品種・男爵薯は、川田龍吉男爵がその名の由来なんだ」
「ほぉ~。で、川田龍吉男爵って何をした人なんですか?」
「造船技術を学ぶためにイギリス留学し、帰国後は製鉄所、日本郵船を経て造船所の社長に就任。そして、北海道へわたる。晩年は北海道農業の近代化に尽力した偉人だよ」
「へぇ~、そうなんですか」
「北海道の風景がイギリスの田園風景に似ていたことから、イギリス留学時代に恋人と食べたジャガイモを思い出し、欧米からタネイモを取り寄せ、試験栽培していた。そのなかで、『アイリッシュ・コブラー』という品種が北海道の気候や土壌に一番適していたことから、この品種の普及に努めたんだ。やがて、“男爵様が育てたイモ”→“男爵薯”となったわけさ」
「なるほど~。ありがとう、男爵様! 男爵薯ってホクホクしておいしいですよね~」
「デンプンを多く含むからホクホクした食感で、こふきいもやマッシュポテトに向いているね。一方、メークインはデンプンが少なく煮くずれしにくいから、煮込み料理に向いているよ」
「おいしいジャガイモ料理ができるよう、栽培がんばります! 栽培過程は随時ブログにアップしますので、ぜひチェックしてくださいね。では、次回をお楽しみに~♪」
イラスト&マンガ:ナシエ