

| ●藤田 智(ふじた さとし) 1959年、秋田県生まれ。宮沢賢治に憧れて岩手大学農学部へ進み、岩手大学大学院修了。恵泉女学園大学人間社会学部教授として生活園芸、野菜園芸学の教鞭を執るほか、各地で講演や家庭菜園指導を行う“野菜づくりの伝道師”。テレビやラジオへの出演、雑誌や書籍の執筆など、幅広く活躍中。 |
●ナシエ 藤田先生との出会いによって野菜づくりに目覚めた家庭菜園ビギナー。園芸知識ゼロからのスタートながらベランダ農業達人めざして奮闘中。今回は初の果樹栽培にチャレンジ! 野菜栽培もうまくいかないのに、大丈夫なのか戸惑い気味ですが、がんばります! >>HPはこちら<< |

![]() |
「もう6月かぁ…。ジューンドロップの季節だね」 |
![]() |
「ジューンドロップって何ですか?」 |
![]() |
「果樹の生理落果のことだよ。実がつき過ぎると木が弱ってしまうから適正な量まで自ら実を落として、生産調整するんだ。というわけで、今月はベランダ農業のススメ初の果樹、温州みかんだよ!」 |
![]() |
「ベランダでも育つんですか!?」 |
![]() |
「それは環境と管理次第だね。まず、環境。温州みかんは常緑樹で日なたを好み、耐暑性が強く耐寒性も柑橘類の中では柚子に次いで強いものの、最低気温が氷点下5℃以上でなければならない。栽培に適する年平均気温は15~18℃で、経済栽培(商品として作物を栽培すること)の北限は神奈川県の湘南地域といわれているね。代表的な産地はわかるかな?」 |
![]() |
「和歌山、愛媛、静岡ですね」 |
![]() |
「正解! これらに共通しているのは海に面した温暖な沿岸地であること。日当たりの良い斜面で栽培されているよ。つまり、そういう環境が温州みかんの栽培に適しているということ。だけど自家用栽培なら、冬は室内で育てるなど防寒対策をすれば寒冷地でも大丈夫かな? あとは管理。これは特別難しいことをしなくても実がつきやすいから、水やりなど日頃の世話を怠らなければ大丈夫」 |
![]() |
「むむむ…、大丈夫かな~? それにしてもベランダでみかんができるなんて夢がありますね~」 |
![]() |
「でしょう? 春には香りのよい白い花が咲き、夏には緑色の実がだんだんと大きくなっていく様子を眺め、秋にはオレンジ色に熟した実を収穫するという最大の楽しみが待っている。多くの野菜は収穫したらおしまいだけど、果樹は次の年も実るからね」 |

![]() |
「楽しみが続くんですね。長いお付き合いになりますね~」 |
![]() |
「ガーデニングにおいて、アクセントとなる庭木を『シンボルツリー』というんだけど、ベランダガーデニングにおいてもこのシンボルツリーを置く人が増えているんだ。樹高を低めに抑えられ、花も実も楽しめる温州みかんは、ベランダガーデニングのシンボルツリーに最適なんじゃないかな?」 |
![]() |
「ベランダの景観が豊かになりますね。それに、冬の『炬燵にみかん』という光景は家族団欒の象徴でもありますよね。みかんって、日本的で心温まるイメージがあっていいですね」 |
![]() |
「温州みかんは、かつては日本で最も消費量が多い、国民的果物だったんだけど、近年は減り続けてるんだ。総務省統計局が公表している家計調査年報を見ると、みかん消費量は二人以上の世帯で1988年には年間約32kgだったのが、2008年には約15kgと20年間でほぼ半減したことがわかる」 |
![]() |
「そんなに減ってるんですか」 |
![]() |
「まず、核家族化で一世帯あたりの人数が減り、みかんを箱買いすることが少なくなった。それに今は一年中、さまざまな果物を食べられるからね。オレンジ、グレープフルーツ、イチゴ、バナナ、キウイ、マンゴーなどなど、みかん以外にも果物の選択肢が広がったということだね」 |
![]() |
「確かにそうですね」 |
![]() |
「それから、『皮を剥くのが面倒くさい』という若者も増えているみたいだよ」 |
![]() |
「えぇ~、なんてモノグサなの!? 嘆かわしい…。そういう人にこそ栽培を通してみかんのありがたみを感じてほしい!」 |
![]() |
「いいこと言うね~、ナシエちゃん。ホント、その通りだね! では、オススメ品種をお教えしよう。初心者でも栽培しやすいのは早生種。収穫時期の早いものから極早生(9月上旬~10月上旬)、早生(10月中旬?下旬)、普通(中生/11月上旬~中旬)、晩生(11月下旬~12月中旬)に分類されているよ。晩生種は甘みが強くておいしいんだけど、前年に実をならせすぎると、『隔年結果』または『隔年結実』といって、次の年が不作になる傾向があるから気をつけて。2年生苗(樹齢2年の苗木)を植えつけるのが普通だけど、秋に出回る実付きの苗木を購入すれば、翌年も確実に実らせることができるので初心者には一番のオススメ!! また、野菜苗同様、接木苗の方が丈夫で育てやすいよ」 |